2013.04.04 八ヶ岳連峰:阿弥陀岳北陵

2013年4月。冬季バリエーションルート初心者の私はベテランのUさんと南八ヶ岳にある阿弥陀岳北陵に登る事になった。前日の夜に小淵沢の道の駅に到着し、屋根のある快適な場所にテントを設営する。雨や夜露に濡れる心配がなく、さらにはトイレ設備もある素晴らしい場所でした。

翌朝4時に起床。美濃戸口より阿弥陀岳に入る。前日に20㎝の降雪があったため駐車場から見える阿弥陀岳は綺麗に雪化粧されていた。

薄っすら積もった雪道を北沢に向かって歩いて行くとすぐに本格的な雪道に変わった。登山道は踏み固められているためアイゼンは装着せず。2時間程で赤岳鉱泉小屋に到着した。

ここで休憩を兼ねてハーネスやアイゼンを装着する。休憩中、椅子の上にうっすら降りている霜をインナーグローブを着けた手で払ってしまい。手が急に冷えて痛くなる。ここで予備のウール手袋に変更。ウールはやはり温かい。

準備を終え、まずは行者小屋を目指す。前日に降雪があったためラッセルを心配していたが、まだここでは薄っすらとトレースがあった。

8:40に中岳沢分岐に到着。阿弥陀岳のある方向へは1名分のラッセル跡がついていた。しかしラッセル跡はすぐに消失。恐らく先行者は引き返したようだった。

ここから交代でラッセルが始まる。アイゼンに纏わりつく湿った雪をピッケルで叩き落とし、時折腰のあたりまで足を潜らせながらなんとか高度を稼いでいく。

急こう配に差し掛かった辺りでそこから前に進めなくなった。足場が固まらず上にあがる事が出来なかったからだ。一瞬脳裏に敗退の文字がよぎるが、ダメ元でピッケルで雪を崩しながら前に進む。幸いにも少し掘り進んだところで固い雪にぶつかり、這うようにして脱出。

今回は足首にスノースカートがあるオーバーズボンを履いていたが、ラッセルで雪が靴の中に侵入し、いつの間にか足がびしょびしょになっていた。もしこれが厳冬期だったら深刻な事態になっていたと思う。やはりスパッツは必要なようだ。

ラッセルを開始してから約3時間後にようやく第一岩稜の取り付きに到着。Uさんの指導を受けながら登攀開始。(写真は登攀中のUさん)

1ピッチ目はレザーグローブで登るが摩擦が低く滑るので怖い。2ピッチ目からウール手袋で登る。ウールだと濡れの心配はあるが岩を掴みやすい。Uさんのアドバイス通り、今後はよくあるツーインワンの手袋ではなく、オーバー手袋とウールのインナーの組み合わせにしようと思う。また、手袋を落とさないように紐を付けるのも忘れないようにしたい。

第二岩稜に到着。訓練のために短くピッチを切ってくれて、臨機応変の支点作成術を見せてもらえる。一方自分は慣れない事もありもたもたと不要な動作が目立つ。登ってこいよとロープを何度か引いてもらえるが、それが合図なのか確信が持てずに悩んだり。結局次からは大きな声で合図してくれた。登攀は1時間かからずに終了。

12:23阿弥陀岳山頂に到着。苦労もしたし思い入れもあったので胸が熱くなった。
初心者の私をここまで連れてきてくれたUさんの技量と気持ちに感謝します。

阿弥陀岳山頂から中岳への降り。写真左の雪面にラッセルの跡が見えます。

結局帰りもラッセルを続け、16時に無事美濃戸山荘の駐車場に到着しました。

■タイムスケジュール
05:23 美濃戸山荘手前の駐車場を出発
07:20 赤岳鉱泉小屋到着 登攀準備
08:40 中岳沢分岐 程なく交互にラッセル開始。
11:25 第一岩稜取り付き
11:44 第二岩稜取り付き
11:58 3ピッチ目
12:23 阿弥陀岳山頂に到着
13:09 阿弥陀岳と中岳の間のコルに到着
14:10 行者小屋到着
16:10 美濃戸山荘手前の駐車場に到着

 

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