2014.1.31-2.1 赤岳西壁 主稜

赤岳西壁主稜(日帰り)

(1)メンバー
Uさん(L)、Nさん、U海(記録)

(2)コースタイム
2014131日(金)
東京発1900 小淵沢道の駅着21:30

20142月1日(土)
美濃戸口発630
赤岳鉱泉着754/820
行者小屋855
ルンゼトラバース50m
取付(登攀開始)1050
1P凹状岩(チムニー、Ⅳ級)30m
雪稜200
上部岩壁(Ⅲ+らしい)
雪稜100
赤岳稜線1245
赤岳山頂1250
行者小屋1400
美濃戸口1620

先週に引き続き、今回も10時間行動でした~

+++++++++
(3)記録

今週末は会のみんなと北八ヶ岳の天狗岳で雪山呑んだくれ山行に参加する予定であったが、リーダーSさんの急な出張と、登頂予定の日曜日の天気が相当悪そうだったこともあり、見送ることに。さて、予定が開いてしまった。。。というところに、Uさんより山行のお誘いが。先週の横岳西壁石尊稜でのバリエーションデビューに続き、今週も行ってしまいました。先週、悪天候から見送った赤岳の主稜です。今回は意外にもUさんもNさんも初めてのルートとのこと。金曜夜発日帰りということで天気も持ちそう。

今回は赤岳主稜を前夜発日帰り。先週同様、小淵沢の道の駅でテントを張る。今日は早く着いたため、車はまだ少ない。ただし寒い。。。なんとなく体調が本調子でないため、珍しく山前酒も控えめ。

朝は4半起き。体調悪いのでカフェイン入りアリナミンを注入。外に出たら周囲もテントだらけ、車も多く驚きます。そして美濃戸口の駐車場も車が多いです。赤岳鉱泉のアイスクライミングイベントに参加するのでしょうね。

また、例によって赤岳鉱泉までノンストップ1時間半で登る。前回の教訓から荷物の軽量化に努めた。また、今回はシングルロープで行くとのことでロープは一本。壊れていたザックのバックルも修理し、軽々歩ける。。。はずだけど、体調は今ひとつ乗ってこない。

今回は休憩もそこそこに赤岳を目指す。前回行った石尊稜方面へのトレースが降雪で薄くなっているが、入ったばかりのパーティが1-2あるようだ。もの凄いラッセルだろうなあ。

文三郎道の途中で前に女性の単独行者と出会う。見れば若い山ガール、阿弥陀の北稜に行くという。気合入っている。。。

(文三郎尾根より赤岳方面)

 

(文三郎尾根より取付を探す)

 

(阿弥陀岳が同じ高さに見える)

 

文三郎尾根を思いの外登る。半分も登っただろうか、主稜への分岐が見えてくる。高度が上がると風も強く身体も冷えてきたので、前進を逡巡するが、主稜に向かうという別のパーティと話をしているうちに行く気になってきた。

取付までのトラバースは50m位だがかなり細く、急斜面で、細心の注意を払って進む。取付点は大混雑で、前に2パーティ、後ろに2パーティいるようだ。どうも、前後のパーティは同じグループで、我々3人がたまたま間に入ってしまったようだ。

かなり急な雪の斜面で前のパーティが抜けるのを30分以上待つことになった。出だしはいきなり核心らしく、なかなかスムーズに登れない模様。ここは日陰なうえ、風も吹きすさび、身体全体が猛烈に震える。

(手前をトラバースして右のチムニーが取付)

(写真だとわかりづらいですが、足元はかなり急です)

(なんだか賑わう取付点)

30分以上待ち、ようやく自分たちの番が来た。Uさんはさっさと登っていってしまった。シングルロープでNさん、私の順番で登る。

取り付いてみると、なるほど先行者が苦労していたのがわかる。チムニー風の岩場を、ステミングしつつ、大きなチョックストーンの下に左手をジャムして身体を持ち上げる。右手は岩の上にホールドが無いので、バイルを雪面に刺して腕力で上がってしまった。自分はフォローなので面白いと思えたが、リードだと緊張するだろうなあという岩。登って直ぐNさんが「ラーク」と叫ぶのが聞こえ、思わず身を伏せる。自然落石のようだが、自分には音も聞こえなかった。

これを抜けてしまうと、右手に斜上し、直ぐに終了点。

(ようやく陽が差す)

 

その後の長い雪稜は基本的にコンテでぐいぐい登る。

2つめの岩場の手前で先行パーティが待っていた。話をすると、神奈川のGという山岳会の方達だった。新設の会とのことだが、年齢層も幅広く若い会員も多そうだった。後続を待つとのことで快く先に行かせてくれた。なんとも感じのよい方たちである。

この後、ビレイ点でロープを巻き直していると、何故かロープの束の中にUさんのデジカメが。。。手を伸ばすも気づくのが遅く、あっという間に谷底に落ちて行ってしまった。ラーク!と大声で叫ぶが、幸い後続パーティのルートを避けて落ちて行った。平謝りに謝る。

上部岩壁は面白いが、あっという間に終わってしまう。その後また緩い雪稜を行くが、はてさて次のルートへの取り付き点がはっきりしない。左手にルンゼが有り、古い支点と切れそうなスリングが掛かっているのが見えたので私があれではないかと言ったものの、Uさんは「古すぎるし、岩の難度が高そうだ」との判断で、直登して別のルートを探った。すると見事に新しいペツルボルトを発見。流石です。この先は難しいところもほとんど無く、コンテでグイグイ高度を稼げる。前回ほどバイルも使わず。

この日は気温が低く、岩稜にはエビの尻尾が発達しており、息を呑むほどの荘厳な岩壁が目の前に聳え立っていた。これほどの光景を目にするのは人生でも何回も無いだろうというほどであった。この素晴らしい景色に自分が入り込み、そこを登っていけるということは至福の喜びである。

(見事な岩壁)

 

(この光景を登れるとは)

 

(もはや芸術作品)

 

斜度が緩くなったころ、左手に縦走する山ガールが見えた。あっという間に稜線に出たようだ。達成感がこみ上げてくる。真冬の赤岳山頂がゴールというのも主稜が人気の理由らしい。

山頂は多くの縦走者で賑わっている。記念写真の撮り合いなどをして、山頂を後に文三郎道を下る。地蔵尾根より緩く、眼前に阿弥陀岳が迫り、自分はこちらのほうが好きだ。途中、すれ違う人に「主稜を登っているのが見えました。格好いいですね」と声をかけられる。なんとも気恥ずかしい。

(赤岳山頂にて)

 

ノンストップで行者小屋まで下りる。途中、後ろから追い付いてくる人がいるので譲ろうとしたら、なんと行きの文三郎で合った阿弥陀北稜の山ガールだった。早い!なんと腰どころか胸までのラッセルだったらしい。

(文三郎道)

赤岳鉱泉は朝と様変わりで、アイスキャンディイベントで大賑わい。アイスはフリー系のおしゃれな人が多いので、私なんかは場違い。早々に後にし、4時過ぎには美濃戸口着。またまた太陽に暈がかかり始め、やはり明日は天気が崩れそうだ。日帰りクライミングとはなんとも気持ちの良いものだ。

 

(赤岳鉱泉のアイスキャンディ大会)

 

(4)感想
主稜はなんとも気持ちの良い、何度でも行きたいと思わせるルートだった。初バリュエーションだった前回に比べると登り方にも慣れ、スピード感を持って登れた様に思う。混み合っていたので登頂も遅くなるかと思ったが、先行パーティの配慮とUさんの的確なルートファインディングもあり、2時間を切って登頂できた。

以上

カテゴリー: 山行報告 タグ: , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です