2017.9.2~9.10 ドロミテ クライミング

2017.09.02~9.10 イタリア・ドロミテ

9.2 Cortina d’Amezzo

毎年訪れているヨーロッパだが今回は初めてドロミテへ。色々な情報を推測して今年のヨーロッパは気温が高く氷河の状態がわるそうだった。氷河の無いアルプスということでドロミテにやってきた。ドロミテは岩登りの殿堂、フリーの上手でない我々に登れるルートがあるだろうか?経験の少ない石灰岩の岩場も不安だった。

パリ経由で初めてベネチア空港へ。空港からはマニュアル6速のレンタカーでCortinaへ向かう。レンタカーのGPSはポータブルタイプで頗る扱いにくい。マニュアルも1年ぶりでエンストの連発。何とかCortina d’Ampezzoに到着するが冷たい土砂ぶりの雨に見舞われた。

頼りの英訳ガイドブック。左はドイツ語から右はイタリア語から。名称などドイツ、イタリア、英語が混じり混同する。

9.3 Col deiBos ViaFerrata

朝起きると山の上部には雪。低い山の南面ならば午後には登攀可能かもしれない。しかし、我々は現地不案内。しかたがないので、SS48を通って Pass Falzaregoへ行き様子を見ることとした。Falzarego峠には山小屋があるが、食堂土産物なども売っており観光拠点だった。停まっている車の屋根には10cm程の雪が積もっていた。ここでやっと地図を手に入れ今日の行動を検討。岩登りは雪があるので止めにして、少々な雪でも登れそうな近くのCol deiBosのViaFerrataへ行くことにする。峠から少し下ったレストランStrobelの駐車場から上り始めるが、ここにたどり着くのに少々行ったりきたりしてしまう。レストランの裏手からトレッキングルートを第一次世界大戦の野戦病院の跡まで登る。そこから Ferrataに取り付いている数名が見える。ルートは最初少々急な登りで途中傾斜が緩くなり最後は頂上へ急傾斜で終了する。上部は雪も見られたが素手で登ることができた。頂上だと思ったらCol dei Bos 山頂は15分ほど登ったFalzaregoTower寄りだった。

 

SS48をFalzarego峠へ。Tofan Rozes も雪が積もっている。

Falzarego峠の小屋の前の駐車場。前夜から停めてある車には雪。

野戦病院の跡。

岩壁に造られ野戦病院。

フェラータの取り付き。クラックの左側です。

フェラータは簡単な人工登攀。カラビナの架け替えが面倒です。フェラータ専用カラビナが便利だと思います。でも、墜ちたら確実に死ぬので注意は普通のクライミングの同じです。

フェラータの終了点。山頂は後ろに。

Col dei Bosの山頂。鉄条網と当時の木材で作った十字架。

9.4 CinqueTorriCimaSudSouthFace

天気予報は良くも悪くもないということで、近場のCinqueTorriへ行くことにした。Falzarego峠へ向かうSS48を途中左に入りすれ違い困難な山道をRifugioCinqueTorreへ向かう。山道は20分ほどだが対向車が来ないことを願いながらの運転だった。CinqueTorreは山小屋の真上歩いて15分ほどだった。当初我々は一番簡単そうなToreGrande CimaOvestのルートを登るつもりだった。そして、たどりついた最初の岩山をCimaOvestと思ってしまった。クラックに取り付いているクライマーと順番待ちのドイツ人2名がいた。てっきりこれがCimaOvestの人気ルートと思い込み。彼らにルートを確認したところ“そうだ、一番ポピュラーなルートだ。”とのことで我々もここに取り付くことになった。我々の後にガイド風の上手そうな3人イタリアパーティも並ぶ。

1p目。簡単なフェースからクラック。クラックには残置があるが越えるのに勇気がいる。越えたところで、カム、その上の膨らみを左から乗り越える。岩が磨かれておりホールが不確かで難しかった。

2p目。左側の短いクラックを登り。そのまま右の簡単なフェースを登ってバンドに出る。どうも間違えたらしい。バンドの先でルートが途切れる。途中の支点までNに登ってもらいそこから15mほどロワーダウンで降りる。見落とした支点がテラスにあった。

3p目。先行パーティが消えたのは左にトラバースしたからだろうと庇が覆いかぶる簡単なバンドを左にトラバース。15mリング支点まで。ここで先行者の声が聞こえた。

4p目。庇の下を5mほどトラバース。ホールどスタンスはしっかりしているが先が解らないので怖い。クラックの下に出て、残置にほっとする。クラックと左のカンテ状のホールドを使いながら登る。左右のバランスが難しかった。クラックを左側に抜け、大きなテラスへ。ここで先行者に追いつく。

5p目。先行者は残置の多い右側のフェースを登り難しそうなトラバースで左のルンゼへ戻っていたが、我々は左側のルンゼを直上。残置はないが難しくはない。

6p目。短いクラックの下まで登り。クラックを登る。残置はあったが被っていて難しかった。3番のカムで思わずA0。チムニー状のルンゼを登り最後はチムニーを左側から越え岩場の肩にでる。

7p目。広いバンド状のテラスから微妙なフェースを登る。3本ボルトがあったがハンガー3本とも無かった。フリー状態の出だし8m。リーチが長い方なので何とか乗り越える。あとは傾斜の落ちてき壁をルートを選びながら山頂へ。このピッチ、リーチの短いNには出だしが大変だったらしい。

下降は後続の若いイタリア人カップルと4回の懸垂で岩壁の南側へ。後続のはずだったガイド風3人パーティは1p目で敗退したらしい。明日は天気が良いとの予報で、そのままSS48でCortinaを通りこし、Mizurinaへ向かい明日のTreCime(いわゆるドライ・チンネ)に備える。夜解ったのだが、今日登ったルートはTorreGrande CimaSud,SouthFace のMyriamというルートでガイドブックの表紙の写真にも使われている有名ルートだった。思わぬ苦戦で落ち込んでいたが、自信を取り戻した。

RifugioCinqueTorre

小屋から直ぐのToreGrandeCimaSouth

Myriam。右のクラックを登り、大きな庇の下を左にトラバースする。

1p目の出だしを登る先行ドイツパーティ。

1p目。核心のクラックは越えました。

1p目上部は難しくないがランナウト。

1p目終了点へ。

核心のトラバースを終え、クラックからカンテフェースへ。

TorreGrande CimaSud山頂。

最後のピッチ思わぬ苦労。終了しました。

井戸を降りるような空中懸垂。

南壁の基部へ。

 9.5 TreCime CimaGrandeSouthFace

朝起きると天気は余り良くなかった。CimaGrandeのSouthFaceのノーマルルートなので多少天気が悪くとも登れるだろうとの気持ちだった。Auronzo小屋へ向かうが、途中、料金所があり有料道路料金なのか入山料かわからない20ユーロをとられた。9時過ぎだったがAuronzo小屋の広大な駐車場は既に半分車で占められていた。Lavaredo小屋方面へトレッキング道を進むが人でいっぱいだった。我々はCimaGrandeの真下から斜め左へ入りCimaGrandeとCimaPiccolissimaのコル方面へ入る。途中ガイドパーティの2名に抜かれ、ノーマルルート取り付きで合流する。そのころから霧雨が強くなり始める。他に1パーティ3名も思案している。ガイドの2人パーティはアンザイレンして登っていった。

我々も躊躇したが、“行けるところまで”と10:00取り付く。ランペを左上してルンゼに入る。ルンゼの左側のフェースを登っていく。我々フリーだったので途中ガイドパーティに追いつく。そこで我々もアンザイレン、コンテで行くが途中チムニーの乗っ越でスタカット。程なく岩稜のコルへ出る。コルから左のフェースへ移り2,3級のフェースを登り大テラスへ。テラスから左へバンドが続いていて、右上がザラザラのルンゼへ繋がっている。迷っているとバンドからアンザイレンした2人が現れた。ルートは白いザラザラルンゼを直上とのことだった。彼らは何処から来たのだろうと考えた。おそらくCimaGrandeの南側は傾斜が緩く、横断バンドが何本か走りハイグレーのトレッキングに使われている模様。ルンゼを進むとリングの支点、さらにチムニーを左から越えると広いルンゼに入り左に登っていく。岩壁の下コルのようなところに出る。コルからは明瞭の踏み跡が左に続いている。このコルから岩場を直上するのか?3級くらいなので登ることは難しくない。しかし、ルートを間違えると降りるのがやっかいである。そのころ雨も強くなり霧で上部がどうなっているか解らなかった。ガイドパーティも近くにいるのだろうが声も聞こえず姿も見えない。バンドを少々壁の真ん中へ進み情勢を探るが解らない。取り付きも遅かったし天気も悪い、おまけに寒い、特に手が冷たかった。ヨーロッパでは今まで散々迷ったことを考え下山することにした。下山は3箇所ほどでロワーダウンをして12:40取り付きへ戻る。誰にも会わなかったので後続組みも諦めたのだろう。Auronzo小屋へ戻ると駐車場は満杯人が多くびっくりした。

Auronzo小屋を振り返る。かなり大きな小屋です。

CimaGrandeの南壁。傾斜が緩く、横断バンドが何本も走っています。これがルートファインディングを難しくします。

雨が降り始めたので雨具を着て思案中。

ガイドパーティはアンザイレンして登攀開始。左上するクラック沿いがルート。

下山途中、マーモットを見っけました。かなりもこもこでした。

9.6休養日

天気予報が余り良くなかったので休養日。Cortina の中心部からFaloriaのロープウエイ乗る。何処へ行くのか良く解らなかったがここへ登ればCortinaが俯瞰できると考えた。ロープウエイの真下にはSkiClub18というViaFerrataを登っている人達が見えた。ロープウエイの頂上駅からはスキー場が広がっていた。Cortina へ降りて時間があったのでFalzargo峠へ行き、明日登る予定のSass de StriaのHexensteinというルートを道路から観察した。下部はショートルートのゲレンデになっており10名ほどが練習していた。

Faloriaのロープウエイ山頂駅。

ロープウエイから見るフェラータルート。

コルチナの町中。

現地の人が多いピザ屋。

9.7 South Arete, Sass de Stria 

朝天気は良い、又SS48をFalzargo峠へ。昨日の偵察通りLagazuoiロープウエイステーションの横の道を数分走り駐車するが他の車はない。Sass deStriaの長い岩壁の下を斜上して行く。トレッキングルートを右にはずれ取り付きと思しき地点右上すると、既に取り付いているクライマー数名、3名のガイドパーティと若いドイツ人カップルパーティだった。

1p目。大きな凹状のフェースからコーナークラックの下まで。簡単で何処でも登れる。

2p目。ちょっと難しいコーナークラックを越え、カンテを進む。

3p目。快適なカンテを更に登る。残置は無く、カムも決めにくいピッチ。

4p目。カンテから右の壁のチムニーを登り。左のカンテへ戻っていく。

5p目。右のバンドからクラックを登り。カンテの大きなテラスへ。

6p目。右側の簡単なクラックを登り。右へピナクルの後ろを大きくトラバース。クラックを乗こしてテラスへ。最後ホールドが砂っぽく滑りやすい。

7p目。右のガリーを登れば簡単に頂稜へ出ることができる。左側のクラックがこのルートのハイライトとのことだったので、クラックを登る。見た目より難しくない。

8p目。フェースをNリードで山頂へ。

ドイツ人カップルのロープ操作などが遅く、ピッチ毎に待たされたが、会話が弾み楽しい登攀だった。このルートは南面で明るく、見晴らしも露出感も素晴らしいルートで登っていて楽しくなった。Sass de Striaの山頂からの下りは第一次大戦の遺跡そのものだった。山頂からの道は当時の塹壕通し、銃眼などもそのまま残っていた。悲惨な塹壕戦の傷跡そのものだった。

取り付き。

2p目。出だしのクラックを登るドイツカップル。

大きなラインは左のカンテですが、右のクラック、フェースの弱点を登ります。

6p目。簡単なクラックを登り、ピナクルの裏のバンドへ。

 

CinqueTorriが遠望できます。

最後の核心のクラック。

最後のクラック。

意外と簡単だったハイライトのクラック。

頂上の十字架に着きました。鉄条網でできた十字架ではありませんでした。

大きな十字架です。

山頂からつながる塹壕。

塹壕に造られた銃眼。

石灰岩を削って造られていました。

古い木材と鉄条網でつくられた十字架。何とも言えない悲しい雰囲気でした。

9.8 Cima Ovest,CinqueTorri

本来なら最初に登るつもりだったSouthWestFaceのViaDelleGuideというルートを登りに行った。3パーティほどが待っていた。一の倉の南稜みたいなルートだから待っても大したことは無いだろうと思った。大間違いで2時間も待たされてしまった。

1p目。簡単なフェースを右上。ハング下の支点で待たされる。

2p目。ハング越えはホールドが多く簡単。10m上の支点でピッチを切っていた先行4人パのーティに先に行かせてもらい50m。

3p目。大きなハング下を右上してカンテからテラス。支点の上を左に乗り越し、簡単なフェースを50m。

4p目。大まかな岩のフェースを登って山頂へ。

登攀時間だったら1時間もかからないルートだろうが、余り経験ないクライマーの入門ルートかもしれない。しかし、それなりに楽しいルートだった。頂上からは北側へ懸垂3回。

1p目を登る先行パーティ。

2p目。

3p目。

CimaOvestの山頂。

9.9 Venezia

Cortinaは朝から天気が悪い。雨が降り出す前に車に荷物を積み込みVeneziaの空港方面へ向かう。途中で大雨に会うが空港近くのMestreに着くころ雨は止んだ。13時過ぎ、ホテルに車をデポし、トロリーでVeneziaへ向かう。橋を渡りVeneziaは島だということが初めて解った。岩山のドロミテから中世の水上都市へ。その落差は大きかった。

観光客から離れた水路、昔と変わらにのでしょう。

幻想てきなベネチアの夜。6時間ほどの滞在でしたが十分でした。

9.10 Venezia~Tokyo

Venezia空港よりパリ経由Tokyoへ。

 

 

 

 

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