2018.07.12~07.21 Dolomite の山旅2018

2018.07.12~07.22 Dolomite の山旅2018

昨夏も訪れたドロミテへ再度旅することになった。氷河をともなうアルプスの高山は気象条件などが厳しく行動も制限されるが ドロミテには氷河が殆ど無く、車でアクセスし易いルートが多数存在する。10日弱の短い日程、この頃の体力の衰えを考えるとドロミテは最適のフィールドだと考えられた。

7/12

羽田より初めて乗るEmirates航空で日付けが変わった頃出発。Emirates は羽田の夜発かつ荷物を30キロまで預けることが出来るので登山者には優しい。難点は飛行距離の長いドバイ経由南周りでヨーロッパへ飛ぶこと。しかし、ドバイを訪れるのは初めて、空港だけの滞在だが楽しみだった。ドバイの空港は思ったように金ぴかだった。貴金属の免税品店がならび新興国の典型的の空港という感じだった。ドバイより更に6時間の飛行でイタリアのベネチア着。ベネチアでレンタカーを調達、マニュアルシフトに戸惑いながらCortina d’Ampezzo へ向う。Cortinaから去年通ったFarzarego峠を越えてBooking.comで予約した山小屋に近いロッジへ。峠を越えるとイタリアというよりチロル地方なのかもしれない。

早朝のドバイ国際空港

金ぴか免税品店が並ぶドバイ空港。

Hotel Al Sasso Di Stria。Hotelというよりも山小屋に近い。

7/13

1stSella ViaSteger

時差ぼけだが早速、Sella峠へ向う。スキー場の町Arabbaを越え、Pordoi峠を越え、Sella峠へ。途中岩壁だらけで良く解らないがGoogle のナビの導くままに到着。みやげ物屋兼カフェが2軒だけのSella峠の問題は駐車するスペースが限られることだった。しかし、峠を越えた先にスペースを見つけ何とか駐車できた。海外での登攀で難しいのは何処が最適の駐車ポイントか?国内では当たり前のことが海外では極めて難しい。峠から一番近いとされる1st Sella Tower へ向う。Sella Tower から峠のスカイラインを越えて南面へ出る。Topoを見て一番解りやすそうなⅣ+のルート Via Stegerを目指す。取り付きと思われるガリーの奥で登攀開始。3級程度のフェースを登りザレを登り左のカンテラインへ出る。2p目、Topoだと1級のトラバース20mとあるが、右へトラバース20m出来ない。1級とは殆どバンドのはず。仕方がないのでカンテを更に登り、右へトラバース10m。上のチムニーの下まで。3p目チムニーを登るが残置無し。余り登った形跡なし。途中のスレッドにランニングを取り20m登るとカンテラインの大きなテラス。支点があることを期待していたが何もない。岩角で支点を作りフォローを上げる。ここで行き詰まってしまった。右のフェースを上へ登れそうだが残置はまったくない。フェースの上部はバルジになっており越えられるか如何か自信がない。この様な状況では撤退が常道と考え、ここまでとする。懸垂の支点は?200kg以上と思われる岩がテラスにあった。これに捨て縄を掛け、カラビナを一枚捨て、支点とする。最初、恐る恐るの50m懸垂+20m程のクライムダウンで取り付きへ。一番解り易いと思って取り付いたルートだったので自信喪失した。南面を暫く探索してセラ峠へ戻る。峠を北側から続々とクラシックカーが登って来る。ドロミテの急坂を100年前に製造されたT型フォードと思われる車まで登って来た。マニアだったら暫し釘付けだろう。セラ峠からCanzeiへ向う。Booking.comで予約したアパートメントロッジはCanazeiの先、Campitello di FassaのCasa Prinoth.。Google に導かれ近くまで行くがタドリつかない。Owner も電話に出ない。1時間ほどウロウロしてやっと見つけることができた。岩場でウロウロ、宿探しでウロウロの一日だった。アパートは広く快適だった。

セラ峠手前よりSellaTowers南面。

SellaTowers北面。

1stSellaへのアプローチ。

ここで行き詰まる。

大岩の懸垂支点。

びくびくの懸垂ロープ。

残念な下山。

高山植物真っ盛り。

Sella峠より。

クラシックカーの行列。車通の話によるとイタリアのブカッティーらしい。5億円との説も?

T型フォード?

 

7/14

1stSella南東壁 Kostner-Pirastrini

昨日の痛手から立ち直るために再度1stSellaへ。グレードが3級で簡単と思われる南東面のKostnerChimmneyへ向う。昨日登った南面を更に廻りこみNormal Route取り付きの手前を左に向う。バンドが切れた辺りが取り付きの思われた。

1p目 簡単な草付き混じりのフェースを無理やり60m。セメントで固めれれたペグの支点へ。先行パーティが出たばかりだった。先行パーティは2パーティ見えたが、1パーティは左の草付バンドを左へトラバースして行った。

2p目 Kostnerチムニーを登る。3級とあるが取り付くと濡れているのと、ツルツルに磨かれた岩で3級ではなかった。幸い残置が3本ありA0で何とか乗り越す。残置がなかったら登れなかったかも?20m。

3p目 フェースからクラック、40m。2箇所ほど緊張した。

4p目 簡単なクラックから正面の被り気味のクラックを避け、右へ5mトラバースしてチムニー状のテラスへ。20m。

5p目 大きなピナクルと垂壁の間を登るが7,8mピナクルを利用して垂壁へのり移るとろで思い切りが必要だった。垂壁が濡れており膨らみを乗り越すのに苦労。25m。

6p目 傾斜が落ち、簡単なフェース50mで頂稜へ。

登攀ガイドの3級とは程遠い4級から5級の感じだった。恐らく、KostnerからPilastriniというⅣ+のルートを登ったと考えられる。CasaPrinoth泊。

1stSella 南東壁。

1p目の登攀。

3p目Kostnerチムニー。右側へ移る時が被っていて難しい。

4p目。見た目より難しいところが出てくる。

右側の隣ルートを登っているが我々のTopoにはない。

頂上稜線の終了点。

今日もバイカー天国Passo Sella

7/15

未明より雨。登攀は無理そうなので、VajoletTowersへアクセスする町、Pera di Fassaのリフト4人乗りリフトの駅まで偵察に行く。そこから、連絡バスでRifugioGardecciaまで行けるらしい。更に徒歩1時間弱でRifugioVajoletまで行けるらしい。午後からVajolet小屋まで入ることも考えたが、天気も回復してきたので、Sella峠の先、Citta dei Sassiへクライミングの練習に行くことにした。20m以下の岩が無数にあり目指す岩場になかなか辿りつけなかった。簡単そうな岩場に来ると昨日下山のとき一緒になり下山ルートを教えてくれた、イタリア人ガイドとお客さん2名が練習していた。我々もその横のルートを登る。その後岩場をめぐり裏の岩場で練習を始めると、ガイドパーティ3名が合流。このイケメンガイドとは縁がある。雰囲気を知るだけの練習だが此方のゲレンデの雰囲気も理解できた。Pordoi峠を越えてArrbaへ。峠で5名程のバイクの日本人と出会う。バイクは此方でレンタルしたとのことで、“もう、カーブはお腹いっぱいです。”とのことだった。Arrba泊。

7/16

Piccolo Lagazuoi WestFace Giordano

今回はドロミテの西側と考えていたが、去年行ったCortinaの雰囲気が懐かしくなった。今日は Farzarego峠近くのPiccolo Lagazuoi西面へ行くことにした。一番簡単そうなルートを選ぶ。GiordanoというⅣ-のルート。

1p目 残置は無いが適当にフェースを登る。右側にガリーがあるのでガリーの左側を登ることを意識。30m。

2p目 左側の緩いカンテへ出てからひたすらフェースを直上。 35m.

3p目 簡単なフェースだが次のピッチのⅣ-は何処だろうと考えながらルートを選ぶ。30m。

4p目 緩い凹角の右のフェースを登る。チョット細かい程度のⅣ-フェースを15m登り後はフェース。

5p目 傾斜の落ちてきたフェースをルートを選びながら直上。50m.

天気も素晴らしく、写真を撮りながらの楽しい登攀だった。横断バンドの終了点から、バンドを右へ大きくトラバースして下降トレースへ出る。一箇所解り難い登り返しがあった。

Booking.comで宿を探しCortina のVictoriaHotelの屋根裏部屋泊。ここはロケーションも良くバイカーが多いバイカーの宿。

Piccolo Lagazoui 西面

駐車スペースから直ぐ壁に向かいます。

1p目。

1p目。気を付けるのはルートを外さないこと。

4p目の核心部。

4p目。フェースを左へ。

5p目出だし。出だしだけ少々緊張。

終了点の横断バンドから。左側はAverau,Cinque Tori 方面。

下降は解り難いところも。

 

7/17 

Tri Cima Cima Grande                        

Cima Grande Normal Route  6:50 取り付き 10:05山頂 14:10 取り付き

ヨーロッパのピークらしい十字架やマリア像のあるピークを登ろうということでTriCima(ドライチンネ)のCimaGrandeを登ることにした。CimaGrandeは去年天気が悪く、ルートも解らなくなり敗退したルートだった。4時起床、部屋でヨーグルトなどの軽食を済ませ、Auronzo小屋へ向う。今日は天気も良く、CimaGrandeもはっきり見える。先行するガイドパーティ2名は我々が取り付きへ到着するとき既に登り始めていた。今年は残雪が多く去年よりも時期が1ヶ月早いので取り付きには雪が大量に残っていた。50mの8.5mm1本だけの最小限の装備で取り付く。第1ノッチのコルからアンザイレン。第3ノッチまでは去年登っていたので全く問題がなかった。第3ノッチからは少々解りずらい、慎重に乏しい残置や支点を求めて登る。顕著なチムニーを登っていると右のカンテからガイドパーティが追い付いてきた。これでルートはファインディングの問題はほぼ解決した。離れないように一生懸命ガイドについていくがどうしても離されてしまう。RingBandと呼ばれる上部バンドを左へトラバースするところでガイドパーティにおいていかれてしまった。上部の岩場に何処で取り付くか迷ったがなんとか左上する凹角を見つけその後も少々の間違いの後ガイドパーティに祝福されて頂上の十字架へ。下りはロワーダウンと懸垂を多用したが懸垂の回収ロープが引っかかったりで登りと同じ時間がかかってしまった。後続のイタリアガイドは親切でロープの回収ではすっかりお世話になってしまった。

左はCimaGrande、右がCimaPiccola。コルの手前が取り付きです。

取り付きから上コルまでは雪が残っています。

取り付き。左上へガリーを登ります。

第一ノッチへのガリー。

第一のNotchから第二Notchへの登り。

第二ノッチから第三ノッチへの登り。

第三ノッチ。去年はここまででした。大きなバントが走り視界が悪るかった去年はウロウロしました。

 

チムニーでガイドパーティに先行してもらいました。

ガイドパーティの後に付くと気分が楽になります。

下り,このチムニーで回収ロープがひっかかりました。

先行ガイドパーティに離されたと思ったら、新たなガイドパーティ3人においつかれました。

上部バンドまでもう少しです。

待望の頂上十字架。

南方面、後日登るTorre Wundt?

下り開始。下りも登りと同じ時間がかかりました。

第一ノッチへの懸垂。

Cima Piccola Yellow Edge

取り付きへ戻りました。一安心。

7/18

昨日はガスが少々かかったが、今日は素晴らしい晴天だった。のんびりと屋根裏部屋のホテルを発ち、Misrina湖へ向う。Auronzoへの途中である。湖畔でウロウロしTorreWundtへの登り口の駐車場を見つけるかが駐車場は満杯。湖畔のレストランで昼食をとり14:00過ぎに戻ると駐車スペースを1台分を確保することができた。そこから今夜の宿RifugioFondaSavioへ約1時間30分。途中から明日登攀するTorreWundtのSouthfaceの下を通る。ザックをデポして取り付きを確認へ。丁度3名が下山してきたところだった。物凄い数のカムやナッツを持っている。自分は2番以下0.5までとマイクロカムを1個持っているだけだった。状況を聞くと彼らが強調したのは下降時の5回目の懸垂は25mで全然足らず苦労したとのことだった。小屋は取り付きから20分ほど。小屋はクライマーは他におらずトレッカー中心の小屋でのんびりしていた。ここからAuronzo方面などへ行けるらしい。この小屋はチロル衣装の肝っ玉母さんが切り盛りしていたが食事は美味しかった。

最高の天気でハイキング日和。

峠を越えるとTorreWundtが見えてきました。

小屋への道は明日登る岩壁の下を横切ります。

取り付きまで偵察。調度3名が下山したところ。貴重な情報を得ました。ルートも明瞭でした。正面の右上クラック。

イタリア山岳会の小屋。RifugioFondaSavio

今まで泊まったヨーロッパの小屋の中で一番ののんびり小屋。

夕食後の散策。日没直前のRifugioFondaSavio。

7/19

Torre Wundt South Face

Torre Wundt Massorana  8:25取り付き 10:45TorreWundt山頂 13:30取り付き

朝はのんびりした小屋だった。皆と一緒に朝食を済ませゆっくり出かける。今日小屋から取り付くのは我々だけだった。

1p目 簡単なコーナークラックを登る。下から見るよりスタンス、ホールドが豊富。ガイドブックにある支点が見当たらず最後ウロウロしてしまった。35m

2p目 登りはじめた立派な支点を見つける。支点の上へ乗り越すところが少々悪いがあとはテラスまで。20m。

3p目 浅いチムニーからコーナークラック。右のスラブとクラックのフレークを使って登る。慎重に登ると必ず何か見つかる感じ。」30m。

4p目 更にチムニーを登る。途中左がわの壁は右のチムニーからこえる。大きなチムニーの入り口のテラス。30m。

5p目 大きなチムニーを登り、テラスに出る。30m。更にフェースを登るがロープが重くランアウトするので緊張した。20m。チムニーの上の明るいカンテでビレイ。

6p目 簡単なバンドをいっぱいに50m。

7p目 簡単なフェースを15mで山頂へ。

山頂からは昨日登ったCimaGrandeが臨まれ素晴らしい景色だった。下降は西側を5回の懸垂で降りるが最初と最後回収ロープがひっかかり何とか回収することができた。Misrima湖の近くの駐車場へ戻りそのままCortinaへ。CortinaでSガイドと遭遇。明日CimaGrandeとのことだった。Cortinaでは行きつけの生ハムレストランへ。

取り付きへ。くの字形のクラックがルート。

1p目。

2p目。クラックの中にいるのですが?

2p目終了点。

3p目。クラックに入ると安定します。

3p目終了点へ。

4p目。クラック。

5p目終了点へ。

頂上へ抜ける。

頂上へ抜けました。

後ろはCimaGrandeです。

誰もいない頂上は気持ち良い。

CimaGrande。

初めてのところでの懸垂は緊張します。

4回目の懸垂。途中で50m懸垂に切り替えました。回収ロープ2度ひっかかりましたが何とか回収できました。

7/20

朝から余り天気は良くなかった。Cinque Torriの短いルートを登ることを考えたが、Sass de Striaの岩登りゲレンデへ行くことにした。このゲレンデは去年HexensteinのSouthAreteを登ったとき観察していた。天気が変わっても簡単に車へ戻れるゲレンデだった。現場に着くと、既に10名以上のクライマーが練習していた。年配者が多く、ウイークデーの鷹取のゲレンデという雰囲気だった。岩場の根元には雪が未だ残っている場所もある。雪が残っているので、空いていた5aのルートを登る。5aは大体5.8くらいだが、部分的に5.8という感じだった。2本目を登っていると雨が降り始めた。急いで終了点まで登り本日の終了。洞窟状の庇で地元のクライマーと雨宿り。シャンペンやハムなどを勧められる。我々もかりんとうなどを出し暫しの交流だった。我々を日本人と確認してから急に友好的になったようだ。

中高年も多く皆気軽にトップロープで練習していました。

5.8位のルートです。

靴が雪で濡れているので微妙です。

皆陽気なイタリアン。楽しかったです。

7/21

朝から激しい雨だった。15時過ぎのドバイ行きの飛行機へ搭乗するだけだったので余裕をもってVenziaの空港へ向った。ドバイには現地時間23時過ぎに到着。8時間以上の待ち時間の後、7/22の深夜猛暑の羽田に到着した。

8日間お世話になったFiat500。マニュアルも慣れたところでお別れでした。

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