2019.09.05~09.15 High Siera Climbing

High Sierra Climbing 2019.9.5~9.15

毎年恒例になっていたヨーロッパでのクライミングは家族の病気などで7,8月の予定まらず秋の訪れの早いヨーロッパでの活動が難しくなってしまった。8月初め前穂高北尾根を登ったとき涸沢小屋でガイドのMさんにお会いした。Mさんは毎年アメリカHighSierraといわれる山域で登っているとSNSなどで拝見していた。“アメリカはどうですか?我々でも登れそうな簡単なルートもありますか?”との問いかけに、“HighSierraは良いですよ。簡単なルートもありますよ。”とのことであった。それから2週間HighSierraのことを駆け込み研究した。ヨーロッパと違い英語の情報ばかりなので短期間で状況を飲み込むことが可能だった。自分にとっての、アメリカでの登山活動は 1971大学院留学中に慶応大学のT助教授(当時)とコロラド州アスペンの奥、Mt.Maroon Bellsという山を登ったのが唯一の経験だった。当時は借り物のアイゼン、ピッケル、ロープに、一人勝手な登攀経験しかない自分の技術で、あまり登攀経験のないT先生を連れての3級程度の登攀に苦労したことを覚えている。インディアナ州からコロラド州までの2,000キロあまりのドライブも楽しい思い出だった。今回の舞台はカルフォルニア州、シエラネバダ山脈の東側の山域を目指して、サンフランシスコ経由ネバダ州の賭博の町リノからレンタカーで向かった。我々が中学時代習ったのはSierrNevada山脈、HighSierraとはカルフォルニア州東部の山域を言うらしい。明らかにNevada州を意識したカリフォルニアの呼称のようである。50数年前、エルキャピタンのノーズに1か月以上かけてルートが拓かれたことを記憶しているが、当時はボルト連打のルートだった。今、ヨセミテはHighSierra の中心でありフリークライミングの聖地となっている。最初のベースはLeeViningとした。LeeViningはヨセミテへと続くRt.120の東側の起点でTuolumneMeadowまでは車で40分の距離に位置する。

IeeVining のコテッジ。雰囲気抜群だったが最終日排水がつまり大騒ぎでした。

09.07 Tenaya Peak Northwest Buttress 、Tuolumne Meadow

7:30 Tenaya湖駐車場  8:50 Butress取付 12:15TenayaPeak 山頂 15:00駐車場

昨日の偵察で駐車場は確認していた。取り付きまで直登しているトレースが確認できなかったので、Tenaya湖ほとり近くまで行きルンゼ状のガレを登る。岩壁の右側へ出て最後は、左へ下るようにして取り付きのChuteと呼ばれる水の流れた跡へ出る。真下から直接登ってくる2名と合流。我々は20分ほど時間をロスしたかもしれない。我々先行で200mほどフリーでルンゼ状のスラブを登る。その後アンザイレンしてスラブの弱点を登っていく。見晴らしの良い平坦な地点で休憩。その後気ままにスラブを登って行ったが、結果的に左へ行きすぎてしまった。クライミングシューズに履き替え、スタカットに切り替え、微妙なスラブを右へ40m程登りルートへ復帰。微妙なスタンスでのクライミングシューズへの履き替えがポイントだった。その後はコンテで登るが、途中クラックが出てきたのでスタカットで安全に登る。クラックの上で左へ出すぎ、その時点で後続のフリー2名に追い抜かれる。右へ何とか軌道修正して最後は左へ捲くようなバンドに出る。バンドへ出ては面白くないので頂上直下のバンドを右へ出て上へ抜ける可能性を探るが、頂上直下の乗り越しに自信がなかったので左のバンドへ、戻り、頂上稜線へでる。結局取り付きから山頂まで残置、支点は皆無だった。頂上からのTenaya湖の景色は素晴らしかった。山頂からの下りは西側へ頂稜を下り最後はふみ跡らしき跡を辿り湖のほとりのトレールへ出た。

Tenaya湖の畔から取り付きを目指してルンゼを登ります。

岩壁の右へ出たのでバンドを左に大きくトラバースして取り付へ。

ルンゼを30分ほど登ると見晴らしの良い台地に出ます。

Tenaya湖が望めます。

正面の壁を登りますが、途中左へ出すぎました。

最初に頂上かと思った頂綾。

韓国系の若者が撮ってくれました。

TeneyaPeak(3141m)の頂上。

09.08 Cathedral Peak、Tuolumne Meadow

09.08 Cathedral Peak 9:00 Rt.120沿いの路肩パーキング 11:30 Cathedral Peak 取り付き 11:50登攀開始。13:30撤退。

朝時差ボケで3時ごろ起きたののだがその後2度寝、おまけにガスレンジが着火せずお湯つくりに電子レンジで対応したりで出発が遅れてしまった。JohnMuirTrailの入口よりTrailを辿るが、少々行き過ぎてしまい30分ほどの時間ロス。60分~90分のアプローチということであったが、2時間強かかって、壁の左側へ着いた。準備中の1パーティ。ルートは幾つか在りそうだが、登攀を開始したパーティのルートの左側のクラックを登る。目指す終了点は灌木で先行2名と同じ。クラックを出て灌木テラスへトラバースする10mがランアウトした。この灌木テラスで大休止。ようやく先行の2人が登り始めるが終了点のテラスも満杯らしい。右からのルートもこのテラスに収束するようだ。登りはじめると、しばらく待って欲しいとの声。クライムダウンして又、大休止。潔いのか諦めが早いのか、状況の解らない初めての山で、暗いなかでの下山も避けたかったので撤退することにした。45mの懸垂で取り付きへ戻る。時間があったので頂上からの下山ルートを30分ほど登り頂稜まで行ってみた。Eichhornとの位置関係など良くわかったが、暗くなったら頂上からの下山は苦労したかもと納得して下山した。

1p目の終了点。

先行はのんびりカップルでした。

この状態で約1時間待ちました。

頂上の稜線にでるとEichorn Pinnacleが見えます。

09.09 Lembert Dome, Yosemite Valley ドライブ

Lembert Dome Northwest Books

9:00 取り付き 10:30登攀終了

Lembert Dome はTuolumneMeadowに入って最初に見えるDome。駐車場も道路わきに広く、Domeはすぐ目の前にそびえる。アプローチは5分ほどだが、どこが取り付きだか判然としない。ルート図上1p目終了点の灌木を目指して適当に登り始める。下から見るとルートはハッキリしないが登ると何とかなった。緩傾斜帯より上はますますルートは判然としない。岩場の弱点を狙い結果的には簡単な登攀だった。残置や支点があれば全く初心者ルートかもしれないが、初心者がリードすると怖いだろう。終了点で景色を楽しみ、東へスラブを下降、道路へ出た。駐車場へ戻り、時間が十分あったのでYosemiteValleyへドライブ。YosemiteはTuolumuneMeadowより1000mほど低く1時間半ほどでElCapitanの目の前へ着いた。ノーズなどに数パーティ取り付いているのが見えるが殆んど動きがない。見上げる観光客と登攀しているクライマーとに違和感を覚えるが、ここでは日常の景色なのだろう。この日からLeeViningよりBishopへ移動。

Lembert Dome Northwest Books の取り付き。何もありません。

1p目。

2p目を終わると迷います。何処でも登れそうだが残置なし。

何となく登攀終了。

ヨセミテバレーに入ると深い谷間にかわってきました。

待望のハーフドームが望めます。

エルキャピタンの真下で。

09.10 Cardinal Pinnacle Regular Route

Bishopの町から近いといわれるCardinalPinnacleへ向かった。BishopからRt.168を走ること30分。Aspendellという集落から直ぐとのことだったが、遠くにそびえる4000m峰に見とれて通り過ぎてしまい道の終わりのLakeSabrinaまで来てしまった。湖のほとりの釣り人むけのカフェの親父にCardinal Pinnacleを指さして教えてもらう。通り過ぎた道路からちょっとはみ出した小さな岩塔という感じだった。Pinnacle の下まで来たが寒いので少々時間を潰す。ゴロゴロ岩のガレ場を登り取り付きらしきところへ。1p目簡単なクラックをロープいっぱい登ると広場状のテラスへ。ここまでは左から捲いて登って来れる。ここが取り付きなのかもしれない。そこから、4pはルートを外さないように岩の弱点を狙い、フレークやクラックを登っていく。グレード的には5.4から5.6で難しくはないが、簡単でもない。途中懸垂用の支点がありホットした。洞窟のようなテラスから最後終了点のリッジに出ると眩しいくらいの陽の光がありがたかった。リッジに出て右に回り込むと下山路らしきトレースに合流した。下山も簡単とは言えないが慎重に下る。最後懸垂用の支点がありロワーダウン15mで裏側のガリーへ降りることが出来た。ざらざらのガリーから道路へ。帰りはSabrina湖のほとりのカフェでコーラを飲んで湖面の景色を楽しんだ。

道路端の駐車スペースからガレ場を登り取り付きへ。

1p目。左から上の段へ捲けました。

3p目。

4p目。

洞窟テラス。

洞窟から陽光の下へ。終了点でした。

ガレ場を下山。

サブリナ湖のテラス。

09.11 休養日、Pine Creek Canyon, Mt.Emerson偵察

疲れがたまったので休養日。Bishopの町を探索。クライミングギアの店やPineCreekCanyonという岩場の偵察へ。PineCreek は広すぎてよく分からなかった。数百のルートがありそうなエリアだった。車を停める場所から取り付きまで直ぐという感じでもなかった。Mt.Emersonの登山口はAspendellの先、Sabrina湖の手前を右に入って15分ほど。TrailHeadから1時間半ほど歩くとMt.Emersonの南東壁の下へ出る。取り付きのルンゼはトレールからみても顕著だった。

Pine Creek Canyon。広大なクライミングエリアだが良く解らなかった。

John Muir Trail の入口。 トレールはMt.Emersonの真下を通ります。

トレールから見たSouthEastButress取り付きのガリー。200㎜の望遠です。

09.12 Mt.Emerson(4031m) South East Butress

5:30 Trail Head 7:00 Trail分岐 8:00取り付き 15:30頂上  18:45Trail 21:00Trail Head駐車場

暗い中、TrailHead手前の駐車スペースを出発。前日の偵察通り順調にTrailから取り付きへの分岐に達する。取り付きまではゴロゴロ石のガレ場をひたすら登る。キャンプ場で早起きの一人を見かけたがその後は我々だけだった。取り付きのガリーは濡れていない、Nはクライミングシューズに履き替えスタカットで登り始めるが自分は持参しなかった。2pを登り傾斜が落ちる。それからコンテで尾根の右側を登っていくが、ガイドブックの左寄りに登って行くとの説明よりも右の尾根上を登って行ったのかもしれない。時々スタカットで登り、2度ほどクライムダウンして左側へ移行しながら尾根状の岩場を登って行く。思ったよりはるかに長い登りが続いた。最後左側のルンゼから登ってくるトレースが幾つか見受けられた。しかし、尾根筋を登るしかないと決め最後は右からくる稜線に合流した。それからは写真で出てくるナイフリッジ状の尾根を通り頂上への岩場を辿った。取り付きから7時間以上の登攀になってしまった。予想しなかった登攀時間で4000m近辺の高度に体力が極度に消耗した。クライミングシューズでなかったのも体力を消耗した原因だったかもしれない。5.4以上の箇所が何か所かありクライミングシューズではない神経と腕力を使った。頂上からは南側のガリーを下って行く。2か所ほどロワーダウンで降り、あとはひたすらトレールを目指してガリーを降りていった。日没との闘いでなんとか夕日の力が残っているタイミングでトレールに出ることができた。トレールを満月の明かりの下歩くが体力に余裕がないのであまり楽しむことができなかった。水の流れに輝く月の光など印象的だったのだが写真に撮れず残念だった。15時間以上の行動の後、車に辿りつきマンモスレークへ向かった。

取り付きのガリー。簡単そうだけど傾斜は急でした。

登攀開始。

ガリーの登り終わり。これからもっと左へ行くべきでした。

頂上直下の岩場。

 

Mt.Emerson(4031m)頂上。

頂上にはNameBoxがあるだけ。

下山路。湖の見えるあたりまで下ります。日没との闘い。長い下りでした。

 

09.13~14 マンモスレーク LakeTahoe, Reno

マンモスレークには大規模なスキー場があり、オフシーズンの今寂れているのかと思っていたがマウンテンバイクなどで夏でも賑わっていた。夏は寂れる日本のスキー場とは大違いでありアメリカの持つレジャー産業に対する底力を感じた。マンモスレークからSouthLakeTahoeへのドライブ。LakeTahoeも観光客で大賑わい。殆んど国内のお客さんのようだった。LakeTahoeの畔をぐるりとドライブしRenoへ。カルフォルニア州からネバダ州へRt.80で入ったが、州境で急に道路が良くなったのが印象的だった。やはりカジノ経済の威力なのかと感じた。

LakeTahoeを望むViewPoint。

ほぼ、初めてのアメリカでの登攀だった。何処へ行っても残置が無い世界。ヨーロッパでも要所には残置があった。有名ルートは残置支点、フィックスだらけのヨーロッパとは全然違がった。簡単なルートしか我々には登れなかったが、自分にとっては未知のルートであり、カムや岩角でプロテクションを取りながらの登攀は後で考えると楽しかったが、その時は疑心暗鬼との闘いだった。中高年の領域を越えようとしている自分には十分刺激的だった。

カテゴリー: 山行報告 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です